意欲を呼び覚まし、
能力を引き出す教育へ
校長 池上 泰代
通信制の生徒が増えている
全日制・定時制課程の高校生が減少傾向にある一方で、私立の通信制課程の生徒数は増加傾向にあります。いま通信制高校で学ぶ生徒は公立私立合わせて全国で約20万人(うち約15万人が私立の生徒)。高校生の17人に1人という割合ですから、少数派ながら、けっして例外的な進路ではなくなっています。
北海道でも全国と同様の傾向がうかがえます。令和2(2020)年度の通信制高校の生徒数は2万1845人(前年度比0.5%増)。少子化で高校生の数は減少していますが、高校生全体に占める通信制課程の生徒の割合は年々大きくなっています。平成23(2011)年の12.6%から令和2(2020)年には15.4%まで、ほぼ毎年、数字を伸ばしています。
通信制高校を選ぶ生徒が増える傾向は、北海道においても今後、続くと見てよいでしょう。さしあたって2つの理由が考えられます。
なぜ通信制が選ばれるのか
ひとつめは、中学校や全日制高校が、いじめや不登校、学業不振といった課題に依然としてうまく対処できていないこと。困難を抱えたまま行き場を失った生徒とその保護者の切実なニーズに応えられるのは、いまのところ私立の通信制高校しかありません。
ふたつめは、最近では、そうした困難を抱えていない生徒が、はじめから通信制高校を積極的に選ぶようになっていること。スポーツや芸能、芸術といった分野に目標を定めた生徒が多いようです。自分の夢に向かって、より自分らしく時間を使えるのが、全日制にまさる通信制の利点だからでしょう。
「自己承認」を土台に指導
上に述べたような背景があって、池上学院高等学校でも年々入学者数が増えています。現在、全道7都市のキャンパス(学習拠点)に合わせて約1,000名を超える生徒が在籍しています。
個性や目標が一人ひとり異なる生徒たちですが、多くに共通しているのが自信の喪失です。したがって、本校の教員は「生徒の自己承認」「自己肯定感」を常に意識して指導しています。これは通学型の総合コースでも、自宅学習中心の通信型コースでも変わりません。
学習をはじめとする高校生活全般が充実するには、生徒が「自分はありのままで人に認められている」「自分は可能性がある」と感じられる環境がなによりも大切です。本校の教員は、生徒へ「声かけ」をするばかりでなく、生徒の小さな成長や本人が気づいていないような観察力を要求されます。また、そこで見つけた良いニュースを保護者に届け共有するのも重要な役目です。
潜在力を「引き出す」指導へ
こうして形作られる「生徒の自己承認」「自己肯定感」の上に立って、本当の教育=エデュケーションを推し進めたいと考えています。エデュケーションの語源は「外へ導く=引き出す」という意味です。単に外側から知識を注入するばかりでなく、生徒の内側に眠っている意欲を呼び覚まし、潜在する能力を引き出し、将来の可能性を広げるために、私どもにはまだまだできること、やるべきことがあります。
たとえば、すでに本校教職員の多くが日本青少年育成協会の「教育コーチ養成講座」を修了するなど研鑽を積み、教育力の一層の向上に努めています。生徒の成長に寄り添いつつ、教員自身もキャリアと人生を豊かにしていける学校でありたいと思っています。これからの池上学院高等学校を一緒につくりあげていく教員を募ります。